著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

三菱の個性派SUVトライトンはトラックのフリした新世代パジェロかも?

公開日: 更新日:

三菱トライトン(車両価格:¥4,980,800/税込み~)

 先日、昭和のクルマ好き以外から見れば「なんじゃこりゃ?」と言いたくなる個性派SUVが登場した。富士山麓で初公道試乗してきた三菱トライトンだ。

 日本では珍しく人が5人乗れるうえ、ムキ出しの荷台が付いている本格ピックアップトラックだ。乗用車とトラックのハーフ&ハーフみたいなクルマで、バブル期にはトヨタハイラックスや日産ダットサントラックが流行ったが、それ以降ハイラックスや輸入車以外は国内にほとんど存在しない。

 事実、新型トライトンの国内月販計画も200台と少なく、しかし仕事にも遊びにも使えるピックアップ需要は世界的には大きく、三菱ピックアップも1978年に初代が生まれ、累計販売は560万台以上。生産は現在タイで行われており、ASEANを始め世界約150カ国で年間約20万台を売り切る屋台骨だ。それが9年ぶりの新型登場を機会に、日本に入ってきたのだ。

サイズ以外は予想以上に上質かつ快適

 間近で見たトライトンだが、サイズは正直バカデカい。グレードは498万800円の標準「GLS」と540万1000円の上級「GSR」2種類があり、GSRの方が大きく全長5360×全幅1930×全高1815mmにホイールベース3130mmと体躯5m超え。普通の立体駐車場やコインパーキングに収まらないサイズで、最小回転半径も6.2mとサイズの割にいいが、狭い都内ではクルマ馴れしてないと難しい。

 しかしサイズ以外は予想以上に上質かつ快適だ。まずはインパネだが、これまで見てきたビジネスライクなピックアップとは違い非常に乗用SUV的。

 特に上級GSRは9インチナビや7インチデジタルメーターの他ステッチ入り本革シートが付いており、座り心地も柔らかい。

 一方、乗り込みは本格ピックアップでは当たり前の頑丈なラダーフレームボディなので床が高く、グリップを摑んで乗り降りする必要がある。しかし当のフレームを新作し、フレーム断面積65%アップで曲げ剛性を6割、ねじれ剛性を4割アップさせており、乗り心地はしっかりかつ予想以上に静か。

常時四駆の「4H」モードでもストレスなく乗用車的に走れる

 同時にエンジンはこれまた新世代の2.4ℓクリーンディーゼルを搭載。これが204ps&470Nmの巨大パワー&トルクを発揮し、2トン以上のボディを余裕で走らせてくれる。

 加えてトライトン初のキックバックの少ない電動パワステや三菱SUVの代名詞パジェロ譲りの電子制御4WD、スーパーセレクト4WDⅡを搭載。そこでフルタイム四駆でありながら、常時リア寄りのトルクを発生、デカいボディをスイスイと走らせてくれる。特に常時四駆の「4H」モードでもストレスなく乗用車的に走れるのに驚いた。

 これまでのピックアップだとステアリングが重かったり、フィールが薄かったり、ギクシャクしたりとトラックっぽさが残ったが、新型トライトンにはほぼない。まさしく「トラックの皮を被った荷室付き最新パジェロ」であり、サイズを除けば今はなきパジェロの後継車として乗れるはず。

 価格はほぼ500万円スタートと安くはない。ただし悪路走破性と現代的SUV性能の両立レベルは非常に高いので、気になる三菱ファンは一度は味わって欲しい。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  2. 2

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  3. 3

    日経新聞コラム「私の履歴書」で、伊藤忠の“ドン”岡藤正広会長の肝心なネタがスルーされた思惑

  4. 4

    吉村府知事が語った大阪万博の「魅力」に失笑買い話題騒然!地方局TV情報番組で売り込み発言も具体性ゼロ

  5. 5

    開幕まで2カ月も大阪万博ご難続き…入場券販売不振で“政敵”に泣きつき、海外パビリオン完成もわずか数カ国

  1. 6

    「貸金庫事件」の三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取の全銀協会長就任にOBらが懸念

  2. 7

    ドミノ・ピザ大量閉店で見えた業界の“地殻変動”…今やライバルは、ピザハットとピザーラだけにあらず

  3. 8

    備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは

  4. 9

    ガソリン全国最高値の長野県「石油商業組合」に独禁法違反の疑いでメス! 公取委が重い腰上げた裏に自民の弱体化か

  5. 10

    大阪万博“引き抜き人事”に労組が抗議書提出の異常事態…府職員からは「通常業務さえままらない」の悲鳴

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…