マレーシアの伊勢丹「ジャパンストア」には閑古鳥が…“チームニッポン”だけでは愛されない
振り返れば20年前、中国・上海では日本ブランドが売れまくっていた。日系の商業施設では、アパレルから化粧品、日本酒、リンゴに至るまで、高級な日本ブランドが富裕層の間で歓迎された。近年、脱中国の動きとともに日本ブランドの主戦場は東南アジアにシフトしたが、日本ブランドの快進撃は続いているのだろうか。
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成田空港からおよそ7時間半。マレーシア(人口約3350万人)の首都クアラルンプールは、今や日系商業施設の主戦場だ。だが、ここに10年近く在住する日本人は、「日本ブランドももうそろそろかな……って感じです」と言う。ショッピングモールや飲食店、アニメキャラグッズ販売など日系資本の進出が続いているが、一部を除いて地元市民にはあまり響いていない、というのだ。
筆者は今年3月、クアラルンプール屈指の商業地ブキビンタンの「イセタン・ザ・ジャパンストア」を訪れた。その日は、一年で最も消費が活発になる「断食明けのハリラヤ」目前の土曜日。だが同店は信じられないほど客がいなかった。
「イセタン・ザ・ジャパンストア」が開業したのは2016年のことだ。扱う商品は主に日本からの輸入品。三越伊勢丹HDが約10億円、官民ファンド「クールジャパン(CJ)機構(海外需要開拓支援機構)」が9.7億円を出資して運営子会社を設立したが、鳴かず飛ばずが続き、日本のビジネス誌などで「税金の無駄遣い」が問題にされてきた。