「地震保険」加入から支払いまで総チェック 能登半島地震の被災地ではいまなお倒壊家屋が
■特約で100%補償や申請サポート業者も
一般に地震保険で補償する金額は、火災保険でカバーする金額の最大50%だが、その100%まで補償する保険商品も登場した。
ジェイアイ傷害火災保険が今年4月から始めた「地震危険等上乗せ補償特約」は、火災保険「iehoいえほ」の特約のひとつで、この特約は地震保険で賄いきれない残りの50%分を補償する。同社で火災保険と地震保険に加入した人が、この特約も契約すれば、建物に結んだ火災保険金額の100%を補償できるのだ。
では、この特約の保険料はどれくらいの金額なのか。先のモデルケースで試算すると、5年一括払いで16万5100円。火災と地震の保険料の合計額より2割ほど安い計算だが、すべて合算すると5年で約37万円だ。
「能登半島地震や各地で地震が頻発していることを受けて、この特約の提供を開始したところ、地震保険加入者のうち約2割が特約を付帯しています。具体的な数字は申し上げられませんが、想定を上回る件数です」(同社広報担当)
地震で被災した人が、自ら加入する地震保険の保険金を受け取るには、建物の被害をチェックしてもらうことが必要だ。この被害認定は、被災地の自治体が行うものとは異なる。だから、被災自治体が発行する罹災証明書を保険会社に送ってもダメ。重要なのは保険会社が定める「地震保険損害認定基準」で、これによって「全損=契約額の100%」「大半損=同60%」「小半損=同30%」「一部損=同5%」が決まる。
ただ、ヒビ割れや溝などが経年劣化なのか、地震の影響なのかは、判断が難しいという。
「深いヒビが5本から7本で一部損、柱が15%傾くと小半損など細かいマニュアルや計算式がありますが、保険を販売している側も理解していないのでは」
そう指摘するのは火災・地震保険申請サポート大手「ミエルモ」の担当者。同社は2019年の東京・多摩川の水害を契機に設立。これまでに3万件の申請を代行。能登半島地震後は半年間で石川周辺エリアの申請を約1000件行ったという。手数料は受給額の33%。完全成功報酬方式だ。最近の給付相場は下落傾向で、1件60万から70万円程度だという。
地震はいつ発生するか分からない。地震保険や火災保険はもちろん、あの手この手で自宅を守るのが重要だ。