東電が仮設トイレ大手を買収するも…再建計画が不透明で“ウン”まかせ?
何とか「ウン」をつかみ取りたい──といった切実な思いの発露なのかも知れない。東京電力ホールディングス(HD)が仮設トイレの販売・レンタル会社の買収を決めた。
企業投資を専門に手掛ける子会社、東京電力タイムレスキャピタルと共同で、その運営ファンドを通じ名古屋市に本社を置く旭ハウス工業(社長・武陵守利氏)の発行済み全株を取得する。「収益源の多様化を図る」(関係者)のが狙いだ。
旭ハウス工業は1975年の設立。建設現場や野外イベント会場向けの仮設トイレに強く、事情通によると業界シェアはトップクラス。災害時のトイレレンタルにも注力しており、今年1月の能登半島地震でも供給役の一翼を担ったという。台風や地震などが頻発する中、東電HDはグループの防災関連ビジネスの拡大につながるとみて買収を決めた。
背景には東電HDが取り組んでいる再建計画「総合特別事業計画」の進捗状況が思わしくないこともある。福島第1原子力発電所の過酷事故を受けて2012年から始動させたものだが、事故の処理費用23.4兆円をひねり出すために打ち出した「稼ぐ力」の向上策が想定通りに進まない。