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重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

非鉄大手のJX金属が来年上場へ…ENEOSからの“親離れ”で生じる財務の不安

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 出世への期待感も漏れてくる。ENEOSHDは旧日本石油が中核となり、業界再編を主導する形で誕生した。それだけに旧日石勢、それも人事畑出身の営業経験者が幅を利かせ、「我が世の春を謳歌してきた」(事情通)。IPOによりそんな旧日石のくびきからも「部分的に解放される」(JX金属関係者)というわけだ。

■足を引っ張るチリの銅山開発プロジェクト

 一方で財務上のリスクに直接さらされることへの懸念の声も上がる。JX金属は主力の銅事業でたびたび多額の損失を出し、その後始末を親会社の資本基盤の厚みに頼ってきた。

 中でも足を引っ張ったのが6000億円以上をつぎ込んだチリのカセロネス銅山開発プロジェクト。生産トラブルなどで複数回にわたって減損計上を強いられ、苦境に立たされた。

 権益の一部を売却したことで現在はリスクが軽減されているとはいえ、銅市況とその需要動向によっては業績が大きく左右されかねない。損失処理をすべて「親任せ」にすることは許されなくなる。

 同社では6割の世界シェアを誇る半導体の薄膜材料などに事業の軸足を移して成長を手繰り寄せていく方針だが、道筋はなお不透明だ。

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