著者のコラム一覧
中西文行「ロータス投資研究所」代表

法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。

APECが閉幕…中国と中南米の急接近で世界はどう変わるのか?

公開日: 更新日:

ペルーの「チャンカイ港」がハブに

 チャンカイ港はペルーだけでなく中国との貿易関係を強める周辺国の利用も想定され、「南米のハブ港」の機能が期待されている。水深は17.8メートルと世界最大級のコンテナ船も寄港が可能。ペルー太平洋岸とアジアを結ぶ海上輸送は平均25日となり、従前に比べ約10日間短縮される。ペルーや隣国チリは銅の主要産出国。周辺ではリチウムも埋蔵量が豊富で、中国は電気自動車(EV)に欠かせないこうした戦略物資の円滑な輸入を図る。中国の主要貿易相手国上位10カ国に中南米諸国はないが、今後はペルーがランクインするだろう。

 中国は、対米貿易戦争に備え中南米を重視。APEC前にアルゼンチン、ペルー、ボリビアの外相が相次ぎ訪中し、王毅外相と会談した。特筆すべきはアルゼンチンで、同国のモンディノ外相は4月30日に北京で王氏と会談。アルゼンチンで2023年12月に右派ミレイ政権が発足後、初めての外相訪中だった。ミレイ大統領が23年の大統領選で「共産主義者とは手を組まない」と述べ、中国と距離を置く考えを打ち出し、就任後に前政権が決めたBRICS加盟を撤回していたからだ。

 アルゼンチンの23年の輸入額は2割が中国からでブラジルに次ぐ規模。輸出先でも中国が3位。モンディノ外相は会談で「中国との友好を追求する政策は変わらない」と語った。同氏は、ファーウェイや中国機械設備工程のトップらと会い、アルゼンチンへの投資を促した。

 中国と南米の連携強化は世界にどう影響するか。注意深く見つめていきたい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪万博会場の“爆発”リスクはやっぱりヤバい…高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符

  2. 2

    大阪万博は開幕直前でも課題山積なのに危機感ゼロ!「赤字は心配ない」豪語に漂う超楽観主義

  3. 3

    「いきなり!ステーキ」倒産危機から一転…黒字転換&株主優待復活でも“不透明感”漂うナゼ

  4. 4

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  5. 5

    農相が備蓄米の追加放出表明も「中小の米屋には回って来ない」…廃業ラッシュで地域の安定供給が滞る恐れ

  1. 6

    トランプ関税「交渉役」に大抜擢…石破首相の腹心こと赤沢亮正経済再生相の“ホントの実力”

  2. 7

    トランプ大統領「日本でアメ車が売れない」ボヤきのデジャビュ…非課税障壁でっち上げ“市場開放”要求のお門違い

  3. 8

    「へグセス疑惑」再燃…「有事では日本が前線に」発言の国防長官が危険視される理由

  4. 9

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  5. 10

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  5. 5

    露呈された韓国芸能界の闇…“兵糧攻め”にあうNewJeansはアカウントを「mhdhh」に変更して徹底抗戦

  1. 6

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  2. 7

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  3. 8

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  4. 9

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  5. 10

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い