著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

出撃の前に失禁、錯乱…腰が抜けて飛行機に乗れない者もいた

公開日: 更新日:
特攻平和会館(鹿児島県知覧町)に掲げられた特攻隊員の遺影/(C)共同通信社

 平成10年のころ、千葉県のある市での講演の後、講師控室に老人とその付き添いの娘さんが訪ねて来た。杖をつく姿は生気を失っている。自ら死が近いことを認め、「以前、あなたの特攻隊の遺書について分析した書を読んだ。どうしても話しておきたいことがある」と前置きし、時に息を荒くして証言した…

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