保阪正康
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保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

吉田茂はなぜ近衛上奏文で共産主義を利用したのか

公開日: 更新日:
集団疎開から1年、終戦により疎開学童たちの帰京が始まった(昭和20年10月終戦後)/(C)共同通信社

 近衛上奏文の前半は論理的に日本、ドイツの劣勢な戦況が語られている。いわば戦争の決着はついているという意味になる。ところが後半になると感情的に共産主義の陸軍内部への伸長の警告となる。次のような一節もある。

「職業軍人の大部分は、中以下の家庭出身者にして、その多くは共産的主張…

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