レスリング「新体重区分」の割を食うのは吉田沙保里ではなく伊調馨
今回の階級変更で割を食うのは吉田より伊調の方だ。吉田と同じように伊調の体重は規定の63キロに満たずに試合には毎回、60~61キロで出場してきた。今年9月に世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)が行われた際に開かれたFILAの総会では63キロ級は61キロ級に変更する案が浮上。伊調は「これ以上、体重は増えないので(規定体重が)減るのはありがたい。体のバランスも良く、動きやすいのが61キロくらいなんです」と話していたが、ぬか喜びに過ぎなかった。
新階級は63キロ以降、69、75と続くため、従来の67キロ級(世界選手権、W杯のみ適用)の選手が63キロに下げてエントリーする可能性は十分にある。
レスリングの計量は試合の前日に行われる。一度、計量をクリアすれば、問題はないため、飲み食いし放題だ。海外勢の中には、計量後に大量に食べて規定よりも10キロ近く増量して試合に臨む選手もいる。
通常、約60キロの伊調が70キロ近い選手を相手にすれば苦戦するのは必至だ。リオでは吉田と伊調の明暗がくっきりと分かれそうだ。