「ダメなら野球やめても…」 Rソックス田沢、飛躍の裏に“覚悟”
「目立つことをしたり、特別扱いされたりするのがあまり好きじゃないんです。コイツ、調子に乗ってるなと思われるのも嫌ですし。野球をやっている人間というだけであって。(日本では)普通に電車も乗るし、コンビニにも行く。高いお店だと居心地が悪くて。居酒屋に行くのが気が楽ですね」
話していても飾るところがない。田沢という男は、思っていることを率直に語る。
「米国では日本食が恋しくなったりはしないですね。毎日がピザでも平気ですよ」
こんなふうに、あっけらかんと話す田沢は13年、メジャーリーグで大仕事をやってのけた。
10月30日。レッドソックスがカージナルスを倒してワールドシリーズを制覇したこの日、田沢は七回2死満塁の大ピンチで登板した。5点リードとはいえ、一発浴びれば1点差。緊迫した場面で4番クレイグを迎えた。13年は打率・315、13本塁打、97打点をマークしたナ・リーグ屈指の好打者を速球で一ゴロに打ち取り、普段は見せないガッツポーズを2度つくった。
「この時ばかりは、やりきった! と思いました。マウンドではいつも緊張しているんですけど、この時は日本から応援に来てくれたファンが持っていた旗が目に入った。そういう意味では周りが見えていたかもしれません。ただ、ベンチに戻ってすぐに、気を抜いちゃダメだと我に返ろうとしました。やりきった気持ちでいっぱいでしたが、ベンチから『次の回も行け』と言われる可能性もありましたからね(笑い)」