ジャンプ団体銅メダル 葛西が払拭した20年間の“呪縛”
3位の日本は葛西が最後から3番目。再び134メートルを飛んでメダルを確定させて、上位2カ国にプレッシャーをかけた。だが、オーストリア、ドイツの4人目も130メートルを超えるジャンプ。日本は銅メダル。W杯団体2連勝のドイツが金、世界選手権5連勝のオーストリアが銀メダルに輝いた。
■「長野団体金が一番悔しい」の真意
「長野五輪のジャンプ団体が一番悔しい」
葛西がよく口にするセリフだ。それは1994年のリレハンメル大会にさかのぼる。日本は2本目、3人目の葛西が飛んだ時点でトップ。最後の原田雅彦が普通に飛べば(105メートル以上)金メダルは確実だった。ところが原田は97.5メートルの失敗ジャンプ。手中に入れたはずの金メダルがスルリと落ちてしまった。
ジャンプ台の下でうずくまる原田。ジャンプ陣が原田に駆け寄り気遣う中、葛西がこう言ったという。
「何、やってんですか。普通に飛べば金メダルじゃないですか」
いくら金メダルがかかっていたとはいえ、ミスした選手にそこまではなかなか言えない。ともすれば傷のなめ合いになる。しかし、それでは勝てないことを葛西は知っていた。あえて厳しく当たったのである。そしてその厳しさが4年後、長野五輪のジャンプ団体の金メダルにつながる。