ジャンプ団体銅メダル 葛西が払拭した20年間の“呪縛”
「リレハンメル五輪の翌シーズン、ジャンプで転倒し鎖骨を折るなど、スランプに陥った。決して弱音を吐かない葛西が、飛ぶのが怖い、と漏らしたと親しい人から聞きました。母親を放火で亡くしてもいる。長野五輪はそうしたことから立ち直り出場した大会。それだけに余計に団体の金メダルの舞台にいなかったのが悔しかったのでしょう」(スポーツライター・高野祐太氏)
ソチは団体でのメダルは金ではなかった。しかし、葛西の表情に浮かんだのは悔しさではなく喜び、晴れ晴れしさだった。
「つらい状況の中、4人で力を合わせてメダルを取れたことがうれしいし、取らせてあげられて本当によかった」
涙を浮かべてこう話した葛西の胸からは、すべてのわだかまりも、つらい過去も消えていたのである。