中学時代の監督が明かす 松井裕の本質は「変化球にアリ」
それにしても、末恐ろしい18歳だ。楽天の黄金ルーキー、松井裕樹(桐光学園)が13日のオリックス戦に先発。初回は1死三塁、五回はヒットと四死球で招いた2死満塁のピンチを切り抜け、二、三、四回はいずれも3者凡退。5回2安打無失点と結果を出した。
「アピールするためにゼロを意識した」と言う松井は、ここまで投げた3試合12イニングをすべてゼロに抑える快進撃。まだオープン戦の時期だということを差し引いても、並の高卒ルーキーではない。
12年夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を作ったこのドクターK左腕を、昨秋ドラフトで1位指名したのは5球団。回避した球団の中には、「あの上背(174センチ)じゃ、プロでは厳しい」「最速149キロといっても大した真っすぐじゃない。制球も悪い」「スライダーだけの投手。見逃せばほとんどボール球になるから、プロでは振ってくれない」と、もっともらしいことを言うスカウトもいた。
獲得した楽天でさえ、ここまでやるとは思ってなかった。一軍の佐藤投手コーチは、キャンプ中に「松井は本来、ここ(一軍)にいる選手じゃないよ。なんでいるかって? そりゃ君ら報道陣がいるからだよ」と話していたほど。要は話題づくりの“客寄せパンダ”。ブルペンで制球がバラつくさまを見かねて、いきなりフォーム改造をさせようとしたのも、1年目からは使うつもりがなかった、使えないと思ったからだろう。