中学時代の監督が明かす 松井裕の本質は「変化球にアリ」
そんな当初の評価がこの実戦に入って一変。「開幕ローテ? 入ってくるわな。それも上の方で」(星野監督)というのだから、いかにプロの見る目がいい加減かということだ。
■「ブルペンでは良さが分からない」
中学時代に所属していた緑東シニアの中丸敬治監督は「ブルペンを見ても松井という投手はわかりませんよ」とこう話す。
「昔からブルペンよりもゲームでこそ力を発揮するタイプでしたからね。私が久米島キャンプに行ったときも、ブルペンでは直球の制球がバラバラ。それでも、周囲の関係者が『今日のブルペンは今までで一番いいぞ』なんて言っていましたから(笑い)。確かに松井は直球だけを見ればプロでは厳しいでしょう。でも、本質は変化球投手です。その意味では、直球も多少はバラけていた方がいいのかもしれません」
プロでも「ブルペンの投球だけを見ればエース級」という投手は山ほどいるが、その逆はめったにいない。中丸監督が言う。
「松井は変化球に絶大な自信を持っている。中学時代も1死三塁、カウント3―0から3球続けてカーブを投げて三振を奪ったことがあります。普通、そのカウントでカーブを投げるなんて、怖くて中学生ではできませんよ。カーブに自信があり、度胸もあった松井だからこそできたことです。当時、たまたま試合を見ていた大学野球の関係者も『あんな投手は見たことがない』と驚いていました」