松井裕の完全デビューお膳立て 巨人から漏れる「悔恨」の声
「あーあ。やっぱりいい投手だな」
巨人の関係者から、こんなため息が漏れ聞こえた。
23日のオープン戦で、楽天先発の松井裕から1番・坂本と4番・村田が空振り三振。坂本が「(スライダーは)プロでも見ることのない球」と目を丸くすれば、3番・長野はバットをへし折られる遊ゴロだった。巨人打線は実戦初登板の高校生ルーキーにプロの洗礼を浴びせるどころか、2回完全デビューをお膳立てしてしまった。
甲子園22奪三振の大会記録を持つドクターK左腕は、巨人だって欲しかった。しかし、昨季は沢村が5勝10敗、開幕投手の宮国も6勝7敗と先発ローテで回った若手が期待外れ。終盤戦には杉内も失速し、先発陣の不安が露呈したことで、昨秋ドラフトでは「巨人志望」ともいわれた松井裕の指名を回避。単独指名を狙い、「即戦力投手」として東京ガスの石川を1位指名したものの、ロッテに抽選で敗れるドジを踏んだ。結局、日本生命の捕手・小林を外れ1位で獲得した経緯がある。
■宮崎の盛況は「松井裕効果」
この日、沖縄セルラー那覇の観衆は1万4282人とぎっしり。DeNAを迎えた前日の試合は9115人だから、間違いなく「松井裕効果」だろう。高校生ルーキーはこのままいけば先発枠に入る勢い。「松井裕は即戦力じゃない」なんて言ったのは誰だ。巨人のチーム内ではそんな声も上がっている。