防御率0.00…元巨人の一岡が「広島で大変身」の秘密
「今は、巨人時代にはない気持ちの高ぶりがあります」
こう言って充実感を漂わせるのは、広島の一岡竜司(23)。昨オフ、大竹寛の巨人へのFA移籍による人的補償で広島に入団。今季、セットアッパーとして17試合に登板し、防御率0.00と完璧に仕事をこなしている。
「自分はまだ精いっぱいやっているだけで、抑えている実感はないです」と、はにかむ一岡は、11年のドラフト3位で専門学校の沖データコンピュータ教育学院から巨人入り。学生時代はシステムエンジニアの勉強の傍ら、コンビニやイタリアンの店でアルバイトをして生計を立てていた。
巨人時代、二軍では2年連続30試合以上に登板し、昨季はチームトップの15セーブ、防御率1.10の成績を残した。豊田二軍投手コーチから一岡の武器である高速フォークを伝授され、着々と実績を積み上げながらも、一軍では敗戦処理扱い。わずか13試合登板とチャンスに恵まれなかった。
「一軍マウンドでは相手の打者と対戦するというより、常に自分との戦いでした。巨人は常に勝っているチームで、一軍には凄い投手が揃っている。二軍で結果を残して、せっかく回ってきた一軍でのチャンスで、自分の調子が良くない時もあった。敗戦処理なんですけど、マウンドで投げていてヤバイぞ、ヤバイぞ、このままじゃ、また二軍に落ちてしまうぞって(苦笑い)。マイナス思考にハマっていたんです。プロですから、もちろん常にプレッシャーはあるんですけど、それとは違う意識があった。巨人ではダメでしたけど、今はその時の経験、反省を踏まえて投げています」