単独使命方針から一転…広島が「ドラフト戦略」大転換の狙い
「今年は思い切った冒険をするかどうか……」
28日にスカウト会議を行った広島の松田オーナーがこう言った。社会人から高校まで20人ほどの候補をビデオでチェック。「今の段階では候補は出ない。夏の甲子園が終わってから、絞りこむ」と話したオーナーだが、この「冒険する」という選手は、「大学ナンバーワン投手」といわれる早大の有原航平(4年)のことだろう。
有原は、カープの地元・広島の広陵高から早大に進学。最速156キロの速球、縦スライダー、チェンジアップが武器の本格派右腕。4年春のリーグ戦で5勝0敗、防御率1.23をマークし、ここまで通算18勝を挙げている。巨人の原沢GMが「スピード、球種、身体能力、非常にスケールの大きさを感じる」と大絶賛しているように、多くの球団が有原を1位候補としている今秋ドラフトの目玉投手。スカウト間では「1年目からエース級の活躍が期待できる。ドラフトで競合は必至。4球団、いや5球団が1位でいくかもしれない」と言われる逸材だ。
■チーム好調の波に乗り
広島はこれまで、安全策のドラフト指名を続けてきた“歴史”がある。昨年、3球団の競合の末に大瀬良(九州共立大)を1位で獲得しているとはいえ、最近では前田健太(PL学園=06年)をはじめ、福井優也(早大=10年)、野村祐輔(明大=11年)と他球団との競合を避けて単独指名できる選手に狙いを絞って獲得してきた。