アイアンはパーオン率よりもピンまでの距離を数値化するSGAに注目
先週の「アールズエバーラスティングKBCオーガスタゴルフトーナメント」は、地元福岡出身の藤田寛之が5ホールにも及ぶプレーオフの末に、優勝を手にした。これで今季2勝目。賞金ランクも2位に浮上している。
藤田といえば、パッティングのうまさ、ショットに定評があるプレーヤーであるが、意外にもパーオン率は上位ではない。賞金ランクは2位だが、パーオン率のランクは34位で65%である。ちなみにパーオン率のトップは藤本佳則で72%。藤田はトップの藤本より7ポイントもパーオン率が低いのである。
では、なぜ藤田はパーオン率があまり高くないのに、しっかり賞金を稼げるのか?
グリーンを外したアプローチがうまい、パットでスコアを稼いでいるとも考えられるが、実は、パーオン率というデータそのものが腕前の指標として成立していないのだ。パーオン率の評価の基準はボールがグリーンに乗ったかどうかだけ。グリーンに乗ったボールがピンに寄ったかどうかは関係なし。このため、パーオン率の指標では、セカンドでどれだけスコアを稼げたどうか(バーディーチャンスの回数)は見えてこない。パーオン率が高ければ、ボギーを叩くリスクは確実に減らせるが、バーディーを取れる確率が高いかどうかはまったく見えてこないのである。この連載で紹介している「ゴルフデータ革命」(プレジデント社)という書籍では、このパーオン率の盲点を指摘し、セカンドショットで評価すべきはSGA(strokes gained approach)であると解説している。SGAのスコアは野球の打率のようなもので、セカンドでスコアを稼いでいるかを数値化している。例えばパーオンしてもピンまで10メートルならば0点。ピンまで2メートル以内ならばプラス1点。対して、ピンまで20メートルならばマイナス0・5点となる。プラスならば1パットでバーディーが取れる確率がグンと上がり、マイナス0・5点以下ならば3パットする確率が上がるというわけだ。