広島の“パンチョ”木下富雄 今は「カープ鳥」の名物大将
当時、中国放送で野球解説をしていた木下さんも、全面的に応援した。
「ナイターが終わると店に駆けつけ、お客さんの注文を聞いたり、野球談議の相手をしたりして店を盛り上げたよ。おかげで長男は、広電の横川駅近くに自分の店を持つことができた。十日市店は今、次男が店長をやり、女房や娘も手伝ってる。つまり木下家総出ってわけ。家族が元気に一緒に働けるなんて、最高に幸せなんじゃないかなあ」
■焼き鳥44種に現役選手の名前
ちなみに、木下さんは店では「大将」と呼ばれている。
「最近は、マツダスタジアムに来たライバルチームの応援団がよく寄ってくれる。みんな礼儀正しくてね。応援団の法被や帽子をカバンなんかに隠してるんだけど、相手の素性なんて話してるうちすぐにわかる。ボクは心が広い人間だから、気にしなくていいよと言ってあげるんだ、ハハハ」
カウンターとボックスで計28席。焼き鳥は1本100円から。
「焼き鳥は44種類あって、それぞれに広島の現役選手の名前がついてる。チームの中心の監督はハツ、心臓ね。その昔、ブラウン監督は“オレはチキンハートじゃない”って怒ったらしい、ハハハ。マエケンはヒナ皮、丸は卵肉巻き、大瀬良は牛タンといった具合。毎年、メンバーは少しずつ代わるため、開幕前に微調整してる。ボク? 引退したのに、なぜかアイガモとして残ってるんだな」