著者のコラム一覧
鈴木明子プロスケーター、振付師

 1985年3月28日、愛知県生まれ。6歳からスケートをはじめ、15歳で全日本選手権4位。東北福祉大に進学後、一時、摂食障害を患い休養。04年に復帰。10年バンクーバー五輪初出場。13年全日本選手権初優勝。14年ソチ五輪出場。14年3月の世界選手権を最後に現役引退。以後はプロスケーターとして活躍。15年には本郷理華のショートプラグラムで振付師としてデビューした。

<第27回>わずか15秒の振り付けのために2日間を費やした

公開日: 更新日:

【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」

 09年5月。バンクーバー五輪出場に向けプログラムを一新することが決まった私は、カナダ人振付師のシェイリーンと共にプログラム作りを開始しました。最初は演技開始直後、プロローグ部分の振り付けです。

「とにかく音楽に合わせていろいろなジャンプやステップをやってみせて」

 4分間のフリーの中で、最初の15秒はファンやジャッジが最も注目する重要な場面。振付師もこの部分にはかなり神経を使います。そのイメージをつくるため、私は音楽が流れるリンクで自分のできるステップや技、ジャンプを数時間、延々と披露しました。

 プログラムを作っている最中ですから、どの場面でどんなジャンプやステップをするという決まりはありません。

 全て「直感演技」の繰り返し。この作業だけで、プログラム作成期間の1週間のうち、2日間を要しました。15秒の振り付けのためだけにプログラム作成時間の3分の1を費やした計算です。

 もっとも、最初の2日間でシェイリーンは私の全てを脳裏に焼き付けていました。その後は、次々と曲に合わせた演目を淡々と作り上げ、開始5日目には4分間のフリー演技の構成が全て終了。残りの2日間で細かい手や足の動き、表情などを組み込み、予定通り1週間で私の新しいプログラムが完成したのです。

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