阪神・西岡のケガで改めて感じた 10億円がパーになるプロ野球の恐ろしさ
その点で西岡のプレーは見ていてつらかった。一発のケガで“商売道具”がなくなるかもしれない。過去、ヤクルトの石井弘寿(年俸1億5000万円=当時28歳)が06年WBCで投げた1球で肩を故障。阪神の赤星憲広(年俸2億5000万円=当時33歳)が09年に守備の際に脊椎を損傷。2人はその後、一軍で活躍することはかなわなかった。
一流選手はどこかで計算してケガを避けているはずだが、本能として真剣プレーをせざるを得ない時もあるのだろう。2人がそのまま現役を続けていたら、おそらく10億円は多く稼いでいたはず。プロ野球選手とはどんなに恐ろしい商売なんだと思う。
▽もりたか・ゆうじ 1963年、長野県生まれ。漫画家・コージィ城倉の原作者としてのペンネーム。89年「男と女のおかしなストーリー」でデビュー。筆者原作の「グラゼニ」(「モーニング」連載中)は「お金」をテーマにした野球漫画。タイトルは、主人公・凡田夏之介の座右の銘である「グラウンドには銭が埋まっている」が由来。