<第17回>北の湖理事長は親方株の売買を合法化した
「売買禁止? それならなんで北の湖理事長は、いまだに理事長のイスに座ってるんだ? ありゃあ建前だよ、建前」
ある親方が言う。
昨年1月、相撲協会が公益財団法人に移行する際、年寄名跡、別名親方株の扱いに関する規約も変わった。協会がすべての株を一括管理、個人的な売買を禁止した。
税制上の優遇措置を受ける組織で、定年まで働ける権利を闇で勝手に売買するなんてもってのほか。そこで協会が株を一括管理する形を取ることによって、個人間の売買を表面上、禁じたのだ。
しかし、親方が「あくまでも建前」と言うのももっともか。新規約では親方株の保有者は、自分の後継者を選ぶ権利を有する。
さらに後継者は前任者に「顧問料」を支払うことが認められた。新法人移行後は顧問料の名目で、堂々と個人間の売買ができるシステムになったのだ。
顧問料については年に1度の報告義務や危機管理委員会による内容監査もあるとはいえ、身内の調査でどこまで厳しくチェックできるかは甚だ疑問。むしろ親方衆は大手を振って、弟子に株を売りつけられるようになった。