合宿初日はランニングのみ ハリルホジッチ監督の狙いと魂胆
25分のランニングが終わると選手たちは、メディア対応もそこそこにロッカールームに引き揚げ、そそくさとバスに乗り込んだ。
海外組は長距離移動をこなし、国内組は前日22日にJリーグを戦ったばかり。疲労を考慮したとはいえ、それでも合宿初日の練習メニューが「ランニングだけ」というのも異例中の異例。さらにもうひとつ、ビックリが待ち構えていた。
通常、練習後にはテレビ局と新聞社が監督インタビューを行う。ましてや今回、就任して初めての合宿の初日である。ピッチでのハリルホジッチの初生肉声はテレビ局も新聞社も最重要案件。ところがハリルホジッチはインタビューを“拒否”したのだ。
冒頭の吉田のコメント通り、「昼飯を食って走っただけ」の合宿初日は驚きの連発だったが、現地取材中のサッカージャーナリスト・森雅史氏が「この日のハリルホジッチ監督の動きから、彼の“言わんとするコト”が読み取れる」とこう続ける。
「19日に代表メンバーを発表した際、テレビも新聞もこぞってスタメン予想を載せて主力組、控え組、ベンチ外組を色分けした。これが指揮官には不満だった。発表会見で『各ポジションで競争を期待する。ワタシのやり方では、前もって決まったベストメンバーはいません。その時々のベストパフォーマンスの選手を呼びたい』と話していた通り、合宿中は選手全員が横一線というのがハリルホジッチのポリシーです。あえて何もコメントしないことで選手に《主力も控えもない》ことを植え付けたかった。インタビュー回避は、マスコミに対する“先制攻撃”だと思います。メディアの言いなりにはならないぞ、こちらでキッチリとコントロールさせてもらうぞ、という意思表明ではないでしょうか」
ないない尽くしのスタートにも、それなりの意味があるというのだ。