3ボールが11回も 阪神・藤浪「プロ初完封勝利」は胸張れない
■大谷との差は広がるばかり
そうでなくても、同期のライバル、日本ハムの大谷翔平に比べると、成績も存在感も大きく水をあけられ始めている印象は否定できない。この日で3勝4敗、防御率2.43とした藤浪に対し、大谷は6勝負けなしの防御率0.86。野手もやりながらの結果だから、数字以上にその差は広がっていると言っていい。198センチ、88キロと大谷の193センチ、90キロを上回る体躯に恵まれながら、「どんどん迫力がなくなっている」と前出のスコアラーは言う。原因は、「投手コーチからインステップを矯正されていることにある」との声は少なくない。フォームを直すことで課題の制球難も解消される、というのが阪神首脳陣の見立てなのだが、評論家の権藤博氏は以前からこう言っている。
「踏み出した左足が三塁寄りに着地するクロスステップ、インステップを日本では昔から『欠点』とする風潮があるが、そんなことは決してない。長身の藤浪がインステップしながら投げてくることで、特に右打者は自分に向かってくるような恐怖感を抱く。『欠点』ではなく『長所』ととらえるべきである」
その素質を考えれば、むしろ遅過ぎるくらいのプロ初完封。それは指導者にも責任がある。