金権腐敗FIFAに君臨 ブラッターを生んだ2人の“金の亡者”
スイスには他の先進国と同様に「腐敗防止法」があるが、国際スポーツ競技連盟は非営利団体なので法の対象外。税制上でも、財務情報の公開義務の免除など過剰なまでに保護されている。
スイス人記者のグチを聞かされてから20年。ついにFIFAに司直によるメスが入った。5月27日、理事会出席のためにチューリヒを訪れていた副会長2人を含むFIFA関係者7人が、贈収賄の疑いでスイス司法当局によって逮捕された。
米国の司法当局の要請によるものだった。
スポーツマーケティング会社の関係者も含めると計14人が起訴されたわけだが、現時点では「91年以降の贈収賄だけでも計180億円」といわれている。だが、過去のFIFAの汚職事件から推察すれば、まだまだ“この程度”の金額では済まない。ひと桁、違ってくる可能性だってある。
■会長辞任に司法取引の“デキレース”説
そもそもFIFAに金権腐敗体質をもたらしたのは、ブラッターの前任者であるアベランジェ前会長(74~98年在職)だった。興味深いことにアベランジェは、IOCの独裁者だったサマランチ元会長(80~01年在職)の後見人であり、IOC会長選の際に南米などのIOC委員の票の取りまとめをしたのは、アベランジェといわれている。