金権腐敗FIFAに君臨 ブラッターを生んだ2人の“金の亡者”
そしてアベランジェに気に入られ、事務局長などを歴任しながら人とカネの動かし方を学び、テレビ放映権をつり上げることでFIFAの財務状況を飛躍的に好転させたのがブラッターだった。
さらにアベランジェの南米、アフリカ、アジア人脈を受け継ぎ、会長選で勝利を重ねていった。
もう20年以上も前の光景だ。チューリヒ国際空港で事務局長だったブラッターを見かけた。
仕立ての良さそうなスーツを身にまとい、いかにも高価そうな革張りのアタッシェケースと新聞を持ち、トランジットスペースに向かうブラッターは、お供を付けずに一人で颯爽と歩いていた。
その表情は自信に満ちあふれ、キレ者のビジネスマンという風情だった。
誰にでも等しく忍び寄る老いは仕方ないとしても、3日未明の辞任会見でブラッターは、随分と疲れ果てた表情を浮かべていた。しかし、年を重ねるごとに老獪さを身につけていったブラッターが「世界のサッカー界すべてから支持を受けているわけではない」という理由だけで絶対的権力を手放すとは思えない。