澤村も“逆球”でサヨナラ打浴び…制球自慢の投手なぜ減った
その瞬間、神様の言葉を思い出した。
巨人の交流戦はロッテに3連敗で終幕。最後は抑えの澤村がサヨナラ適時打を浴びた。打たれた球は外角に構えた捕手の要求に反し、シュート回転したボールが内角に入った、いわゆる逆球だった。
「神様、仏様」とあがめられた西鉄(現西武)の元エース稲尾(和久)さんに、逆球について話を聞いたのは05年の巨人キャンプだった。
「稲尾さん、最近の投手は逆球が多いですが、稲尾さんは(現役時代に)放ったことありますか?」
「そうだな……片手ぐらいはあるかな」
プロ生活14年で3599イニングを投げた稲尾さんは、その間たった5球しか逆球を投げたことはないと言った。今の投手には信用できない話だろうが、稲尾さんはさらにこう続けた。
「逆球といっても真ん中より反対にいった記憶はないよ」
稲尾さんだって四死球はあるが、アウトコースを狙った球は外に外れても、内側への制球ミスはやや真ん中止まり。「内角に投げてしまった記憶はないよ」と、きっぱり言った。