「今の子どもはわがままだね。人間性、それが一番大事なんだけど」
「今の子供はわがまま。まず、昔の人は何でも食べたけど、今の子供は好き嫌いが多過ぎる。『僕、果物嫌いです。食べられません』とかね。私たちの頃、何食べる? って聞かれたら『肉!』だったけど、今の子供は『寿司』とか言う子が多い。力、出ないよ(笑い)。
だから、部屋で食事のときは毎日、ずっと横に座って、弟子が食べるのを見てる。ちゃんと見てないと食べるフリして残して、夜、コンビニに行ったりするから。そうやって見てても夜になると、いつもだいたい同じ人がコンビニ行ってるよ。体を見てれば分かるんだ、それは。ちゃんと部屋で腹いっぱい食べてる子はいい体になってくから。我慢できる人とできない人がいるけど、今は、我慢できない子が多い。
『ケガしない体をつくっていけ』と言ってるんだけど、その伝え方として、『できない』とは言わない。『できる』と言わないと辞めちゃうから。最初からできる人はいないんだから『やれば、できるようになるんだよ』という言い方をする。コミュニケーションを取らないとダメなんだ」
先代は「稽古場では一日に一言二言、それも聞こえるか聞こえないか、という感じだった」というから、コミュニケーションの取り方は対照的だ。そうでなければ今の弟子は辞めてしまうという現実を受け入れる柔軟さが今の相撲部屋経営には必要なのだろう。あすも、昨今の弟子事情について聞く。(つづく)