渡辺元智氏勇退の横浜高 命運を握る平田徹新監督の素顔
初回にいきなり6点を失った。先発出場した2年生捕手が2度もエンドランを決められたことで、一回途中でバッテリーごと交代。試合前から仕掛けてくると予想し、「小倉メモ」で「外せ」と徹底していたからだ。途中から捕手に入った平田は決勝打を放った。コツコツ努力し、みんながついていくタイプ。国際武道大卒業後の06年から横浜コーチ。10年に私の定年に伴い、後任の部長に就任した。保健体育科教諭である。
頭の回転が速く、話がうまい。国会議員ができるんじゃないかと思ったこともあるほど弁が立つ男だ。現在32歳。かつては私と渡辺がやっていたが、近年は週4日で寮に泊まり込み、兄貴分として選手の相談相手になっていた。
私と渡辺の元で10年近く野球を学んでいる。相手校のデータ分析から投手のフィールディングといった特徴のある練習メニューも継承できる。あとは平田の色を出せばいい。カギを握るのは部長に就任する金子雅副部長である。
副部長兼コーチで最近のスカウト活動を一手に担っている。2年生エースの藤平は中学時代から140キロを超える球を投げ、U-15日本代表のエースだった。正直なところ、「よく来てくれたな」と金子のスカウト力に感心したものだ。藤平以外にも現在の2年生にはいい選手が多い。唯一の1年生レギュラー・外野手の増田もU-15代表主将。金子が長崎からスカウトしてきた逸材だ。
ただ、私と渡辺が退いたことで「プロに行きたい」という有望な中学生から敬遠される恐れもある。横浜野球部の未来は、新部長・金子の“腕”にかかっている。