<第2回>「原流マニュアル」を生んだ挫折と飛び込み営業
12日の出雲駅伝で青山学院大は、駒沢大と激しいデッドヒートを繰り広げながら“まずは1冠”を達成した。2位の山梨学院大とは38秒差だったが、「我々にはゲームチェンジャーが3人(1区の小椋裕介=4年、3区の久保田和真=4年、6区の一色恭志=3年)いた。2位とのタイム差以上に強さを感じた」と原晋監督(写真)が話すようにエース神野大地(4年)を欠きながら、大学駅伝シーズン開幕戦で「青学強し」を強烈に印象付けた。今回は原監督の指導のベースになっている社会人時代について語ってもらった。(取材・構成=和田悟志)
今季の青山学院大のチームテーマは「その一瞬を楽しめ! 最強への徹底!」だ。その言葉通りにチームは破竹の勢いで成長し続けている。
04年からチームの指揮を執る原監督は、今でこそ陸上界で名の知られる存在になったが、何度も口にしてきたセリフがある。「私はもともと陸上界の人間ではない」だ。
原監督にそう言わしめるのには理由がある。かつて陸上人としての挫折があったからだろう。
中京大時代に日本インカレ5000メートル3位などの実績を残した原監督は大学卒業後、今や屈指の強豪チームになった中国電力に陸上部の1期生として入社した。だが、1年目に痛めた右足首のケガを引きずり、5年目に陸上部をクビになった。