控え、ベテランが泣きを見るプロ野球「FA制度」の理不尽
正直者ほど、報われない。
昨年、広島から海外FA権を行使した木村昇吾(35)。「他球団の評価を聞いてみたい」という思いと裏腹に声をかける球団は現れず、自由契約となった。窮地に陥った木村に、春季キャンプでの入団テストという救いの手を差し伸べたのが西武だった。
西武にとってはまさに「してやったり」だろう。ある球団OBが言う。
「FAで巨人に復帰した脇谷の穴が想像以上に大きかった。脇谷は内野ならどこでもそつなくこなせる守備力と、勝負強い打撃が売り。『代打でも守備固めでも、困ったら脇谷』という風潮があったほどです。だからといって同じタイプの木村に飛びつかなかったのは、今年36歳という年齢がネックになったからです。逆に言えば、木村を必要としている西武ですら獲得をためらうくらいだから、FA市場でも売れ残ると予想していた」
木村の昨季の年俸は4100万円と高くはないが、テストを経ての入団なら、年俸はいくらでも安く抑えられる。路頭に迷っていた木村にも恩が売れる。その上、脇谷の穴も埋められるのだから、一石三鳥なのだ。