覚醒の2ゴール U-23中島翔哉の決定力はオランダ仕込み
身長164センチ、体重64キロ。日本チームの中でも際立って小兵である。イランもそうだったが、屈強な大型選手とマトモにやり合っても、簡単にブッ飛ばされるだけ。中島は高校2年時のオランダ留学でコツをつかんだ。
「日本クラブユース選手権(18歳以下)でベストヤングプレーヤーを獲得。ご褒美にオランダの名門アヤックスに短期留学した。その時に頭を働かせること、シュートはフルパワーで打つことを叩き込まれた。頭を使う──は、例えばボールを受ける前にフェイクを入れ、相手のアタックを半身で受ければ衝撃が減り、体力差は埋められる。シュートは、それまで“ゴールの枠に入れる”ことを優先していたが、オランダで『コースを狙うよりもシュートを100%の力で放つ』ことの大事さを知って、それから決定力が増した」(サッカー記者)
この日の2点目が、まさにそうだった。
左サイドでボールを受けた中島は、相手選手を1人かわしてペナルティーエリア内に進入すると右足を思いっ切り振り抜いた。相手GKの位置は左寄り。「空いている右側」を狙うのが常道だが、中島はGKのニアサイド(左側)に蹴り込んだ。GKと左ポストとの間隔が狭いのもお構いなし。力任せに蹴ったボールは無回転となり、威力を増したボールにGKはなす術もなかった。