直球手元で伸びた 阪神・藤川4年ぶり復帰登板は上々の出来
投手には2種類のタイプがいる。
ひとつはゴロアウトが多いタイプ。主にシュートしながら沈むツーシーム主体の投手で、メジャーにはごまんといる。もうひとつはフライアウトが多いタイプ。ストレートを実際の球速以上に速く、伸びているように感じさせることで、空振りを奪ったり、ポップフライに仕留めたりする。
藤川球児(35)は本来、後者の代表みたいな投手だ。メジャー移籍1年目の13年6月に右肘靱帯移植(トミー・ジョン)手術を受け、その後、パッとせず。打者の手元で浮き上がるように見えるストレートも鳴りを潜めていた。このオフ、4年ぶりで阪神に復帰。14日の紅白戦は生命線ともいうべきストレートが投げられるかどうかが焦点だったことを考えれば、合格点ではないか。
先発して2回を1安打1四球無失点。ストレートの最速は147キロ。若手成長株で3年目の横田慎太郎(20)を高め速球で空振り三振に打ち取ったかと思えば、他の打者を内野フライに仕留めるシーンも。他球団のスコアラーもこう言った。
「空振りやポップフライが目立ったのは、それだけ回転のいいストレートを投げているから。決め球がフォークだけに、なおさら逆の変化、手元で伸びるように見えるストレートは効果的です。トミー・ジョン手術から2年半が経過し、右肘の不安もなくなったのでしょう」
試合後の本人が「打者との感覚はこれから」と言えば、見守った香田コーチは「素晴らしいのひと言」とコメントした。