ポルトガル決勝へ ロナウドにあってベイルになかったもの
対するベイルは利き足の左足から積極的に強烈ミドルを放つが、いずれも相手GKの正面を突いてしまう。結局、散発的な攻撃しか仕掛けられないウェールズは、シュートもポルトガルの17本に対して9本にとどまり、終わってみれば2―0のスコア以上の完敗だった。
「ロナウド、ベイルとも世界トップに並び称される偉大なサッカー選手ですが、やはりロナウドにあってベイルにはなかったものが、準決勝の勝敗を決定づけたと思います」と現地取材中のサッカージャーナリスト元川悦子氏がこう続ける。
「04年にポルトガルで開催されたユーロに当時19歳のロナウドは、主力の一人として奮闘しながら決勝で伏兵ギリシャに負けてしまった。現地取材に赴き、リスボンで行われた決勝も記者席で見守ったのですが、試合後にピッチに座り込み、ヒザを抱え込みながら大泣きしていた姿が印象的でした。それからロナウドは08年大会、12年大会とユーロに出場。08年ベスト8、12年ベスト4に終わり、31歳で迎えた今大会を12年前のリベンジを果たすラストチャンスと自覚しているはず。ロナウドは、大泣きに泣いた04年大会から『必ずユーロを制してみせる』という強烈な思いをずっと引きずってきた。この思いこそが、ロナウドにあってベイルにはなかったものです。この差が2人のパフォーマンスの差となって表れ、試合結果にも反映されたと思います」
ポルトガルの決勝の相手は、日本時間8日午前4時キックオフの試合で決まる。ホスト国フランスか? それとも14年W杯覇者ドイツか? 見逃せない一戦である――。