<第1回>約70人のケニア人を連れてきて3人が五輪メダル
ケニア在住39年。多くのケニア人ランナーを日本に斡旋し、駅伝やマラソンに刺激を与えてきた「ケニヤッタ小林」こと小林俊一氏。その正体は謎に包まれているが、20年来の友人でルポライターの岡邦行が長期間取材。小林氏自らケニアパワーの強さを明かし、低迷する日本マラソン界に「活!」を入れた──。
「ケニアパワー? そりゃあ、私は常に『2本の脚で人生を切り開け!』と、貧しいランナーに叩き込んでるんだ。日本の高校や大学で活躍し、企業チームに入ればこの不況の世の中でも年間500万円は稼げる。ケニアでは10年間暮らせる金額だよ」
そう真顔で語る小林氏が、これまで日本に斡旋したケニア人は約70人。その中から3人の五輪メダリストを輩出している。
ソウル五輪銀メダルのダグラス・ワキウリ(当時エスビー食品)をはじめ、アトランタとシドニーで銅・銀と2大会連続メダリストとなったエリック・ワイナイナ(同コニカミノルタ)。そして、8年前の北京五輪では、サムエル・ワンジルがケニアに初めてマラソンで金メダルをもたらした。