メダリストをタレント扱いするTV局とアスリートの“下心”
リオ五輪が終わって2週間が過ぎても、メダリストたちはバラエティー番組に引っ張りだこだ。日本選手団のジャージーに金、銀、銅のメダルをぶら下げた選手たちは、MCやお笑いタレントに促され「試合中はノーパンだった」「選手村ではコンドームが無料で手に入った」「部屋のトイレのドアは壊れている。トイレの紙は流さず、箱に入れる」「ゲームは無料」などと、つまらない話で盛り上がっている。
ある深夜の番組では、女子レスリングで4連覇した伊調馨が、小型カメラをつけた女性タレントにローリング(体を回転させる技)をかけたり、かけられたりして、タレントは大喜び。小娘にレスリングの真似ごとをやらせて、伊調から何を引き出せるというのか。テレビ局は五輪が終わるたびにメダリストをおもちゃにすれば視聴率が取れると思っているのだろうが、米国事情に詳しいスポーツライターの吉川英三郎氏が呆れ顔でこういう。
「米国には日本のバラエティーのような番組はない。五輪中継では陸上や水泳競技が盛り上がりますが、だからといってメダリストが五輪直後にテレビに出まくるなんてことはない。超有名選手がトーク番組で司会者と1対1で話すぐらいではないか。欧米では実力のあるスポーツ選手は尊敬の対象ですから、低俗な番組に出演させてお笑いタレントのようなことは絶対にさせません。日本ではプロスポーツ選手や五輪で国民に感動を与えたメダリストを、親しみやすいお友達やタレントのように扱ってしまう。帰国してそんな番組を見たときは奇異に感じましたね」