新規参入5年でCSへ DeNA前オーナーは快挙どう見た<前編>
「球場がガランとしていたのが、満員のファンが熱狂的に応援して、笑顔で喜んでくださっている。それが5年間の変化を象徴していると思う。筒香選手の打席を見るために九回まで残ってくれる。数字上でいろいろ事業計画を立てたが、今のスタンドの姿はイメージできなかった。よくここまで来たなあと。DeNAが球団を買収する意味や、効果はどこにあるか? と取材でよく聞かれました。親会社であるDeNAのプロモーションなどが目的だったわけですが、社名を多くの人が知ってくれるようになっただけでもその効果たるや大きい。初めは『DeNAって何?』という人が圧倒的に多かったと思う。昨年、球場に行った時、『勇者の遺伝子』という応援歌に合わせてファンが『DeNA』と言ってくれる姿に感動しました」
――参入時を振り返ると、1年目から昨年まで中畑監督に託しました。
「中畑さんは最大の功労者のひとりでしょう。当初、中畑さんにお願いしたのは『DeNAが知名度を上げるためには、発信をしていかないといけない。ですから、勝っても負けてもインタビューを受けてください』と。それまでのベイスターズにどれほどの露出があったかというと、自分がファンでなければ記憶がないくらい。大変だったはずですが、中畑さんはファンあってのプロ野球という意識が高く、負けても負けてもインタビューを受け続けてくれた。キャンプの朝の散歩では報道陣に歌を歌った。職員から聞いたのは、歌い慣れない曲を披露する際は前日、歌詞カードを見て練習していたと。自分が発信することで記事になると考え、文字にしやすいネタを出す。そこまで考えている野球人は少ないでしょう。そうした積み重ねもあり、DeNAのファンサービスは12球団で一番だと思う」