二遊争う中日・阿部寿樹は落合GMの数少ない“置き土産”
それが8月に一軍に昇格するや打撃で存在感を見せた。9月14日の巨人戦でマシソンの156キロのストレートを右翼ポール際にプロ初本塁打し、周囲を驚かせた。阿部は、「振り遅れ気味でしたが、きっちり振り抜けた。強く振れることを常に意識しています」と、当時を振り返りながら話す。チーム関係者が言う。
「昨年は下半身をしっかり使えるよう、長いバットによるロングティーに継続して取り組んだ。中でも当時の辻二軍コーチ(現西武監督)が阿部を高く買っていて、居残りでティー打撃やマシン打撃に付き合った。その成果がいまにつながっている」
ホンダ時代は車の内装部分を扱う部署に所属。実際に車の配線作業をやったこともある。バラエティー番組の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」が好きで、昨年の大晦日は実家で「ガキ使」の特番を見た。
「活躍してお金ができたら実家にホンダの車をプレゼントしたい」(阿部)
恩人の落合前GMはすでに退団。落合時代のドラフト指名選手で、モノになったのはほとんどいない。残された時間は限られた中で、素朴で練習熱心なオールドルーキーがチャンスを生かそうと目の色を変えている。