WBC成功に満足の米コミッショナー 捕らぬたぬきの皮算用
「大会がうまくいったことを喜んでいる」
WBCの決勝戦を前にこう言ったのはMLBのマンフレッド・コミッショナー。今大会の観客動員数が初めて100万人を突破したことなどを満足げに振り返ったうえで、次回2021年の第5回大会について、「大会の盛り上がりは維持できると思うし、20年の東京五輪のいい影響も受けるだろう」とコメントした。
しかし、そううまくいくだろうか。
20年東京五輪で、08年の北京五輪を最後に除外されていた野球が復活するとはいえ、出場はたったの6カ国。アフリカや欧州諸国では、まだまだ馴染みが薄い競技に過ぎない。参加する半数の国がメダルを獲得するようなマイナー競技は東京五輪限りとの声は根強く、その後に「いい影響」を及ぼすとは考えにくいのだ。
今大会で米国が優勝したのも、今後を考えればマイナスではないか。
米国代表の第1回大会からの成績はこれまで、2次ラウンド敗退、ベスト4、2次ラウンド敗退とパッとしなかった。日本を含むアジアや中南米諸国が結果を出して盛り上がる一方で、米国は収入の66%をもっていく。ホスト国として他国を楽しませる代わりに、場代はしっかりといただきますよというのが米国のスタンスだった。
それが、実入りばかりか栄誉まで独占して独り勝ちというんじゃ、カネも勲章も手にできない他の参加国はシラケるばかり。
WBCは今後もうまくいくという米コミッショナーの思惑通りにはいきそうもない。