変わらぬイチローの個人主義 チーム大敗も今季1号大喜び
日頃は冷静を装っているベテラン外野手が珍しく喜びを爆発させた。
19日(日本時間20日)の古巣マリナーズ戦の九回に今季1号ソロ本塁打を放ったマーリンズ・イチロー(43)。チームは5-10で大敗し、今季3度目の連勝を逃したにもかかわらず、試合後のイチローはどこ吹く風だった。
17日の3連戦初戦にはメジャー通算3000安打の祝福セレモニーが行われ、古巣のファンに歓迎されてテンションが上がっていたのだろう。慣れ親しんだセーフコフィールドでの一発に「これは印象に残るわね。ファンも喜んで、一番理想的な場面だった。本当に打ててよかった」と、まるで殊勲打を放ったかのような口ぶりだったのだ。
イチローといえば、マーリンズ移籍後は「4人目の外野手」として、チームのサポート役に徹してきた。試合前にはベテランらしく、チームを盛り上げるために踊りを披露したり、若手に積極的に助言してきた。「フォア・ザ・チーム」の姿勢を見せていたが、むしろこっちがイチローの本性だろう。
マリナーズ時代はチームが振るわなかったこともあり、シーズン200安打到達などの個人成績を追求してきた。イチローの頭にあるのは自身が安打を放つことで、当然、チームの勝敗は二の次というような言動が少なくなかった。
マーリンズ首脳陣は経験豊富なイチローに若手の模範になる存在として期待している。確かに試合前の入念な準備、野球に対する真摯な姿勢は若手の手本になっても、個人主義のベテランの存在はマイナスになることもある。