横綱日馬富士 今場所負け越しでも“引退勧告”されないワケ
4日連続で座布団が舞う事態は免れた。
3連敗中だった横綱日馬富士(33)は15日に千代大龍を下し、今場所3勝目。引き技が得意な挑戦者に対し、張り差しからの速攻で攻めた。
取組後は「よし」と安堵のため息をもらした横綱。これで3勝3敗とはいえ、本来なら横綱が序盤で3連敗した時点で途中休場待ったなしである。
しかし、そこは責任感の強い日馬富士。一人横綱となってしまった今場所、「自分も途中休場します」とは言いにくい。横綱審議委員会の北村委員長も「横綱が全員休んだら、目も当てられない。(日馬富士は)奮起して頑張ってほしい」と、異例のエールを送っているのだから、なおさらだ。相撲協会としても、「負け越してもいいから、千秋楽まで出てくれ」というのが本音だという。
横綱が負け越せば、どうしても引退が取り沙汰される。1場所15日制が定着した49年以降、皆勤して負け越した横綱は89年9月場所の大乃国(現芝田山親方)と99年9月場所の若乃花のみ。いずれも即引退とはならなかったが、議論を呼んだ。