3横綱休場でも大盛況 大相撲はバブル人気の“異常事態”
八角理事長(元横綱北勝海)も初日の挨拶で「誠に遺憾」と言わざるを得なかった。
10日に初日を迎えた9月場所は、力士5人が事前に休場届を提出。うち3人は横綱で、優勝39回の白鵬、唯一の日本人横綱・稀勢の里もいない。普通に考えれば、チケットを買った客に「カネ返せ!」と言われても仕方がないところだ。
しかし、国技館は初日から満員御礼の大盛況。3横綱が休場を発表する前に売り切れた前売り券は仕方ないにせよ、当日券もスピード完売だ。当日券は200枚あり、7時45分から販売開始。この日は7時20分の時点で200人が並んでいたため、チケット売り場が開く前から完売が決まった。
3横綱がいないにもかかわらず、チケットはバカ売れ。まさに異常事態に次ぐ異常事態だ。
■求められる「土俵の充実」と若手の育成
相撲評論家の中澤潔氏は「昔では考えられない」と、こう話す。
「4横綱が3人休場では看板倒れもいいところ。それでも客足が鈍らないということは、多くのファンは内容を問わず、相撲なら何でもいい、ということでしょう。本場所の雰囲気を楽しみたい、力士そのものを見たい。それはつまり、相撲本来の良さに引かれたからではなく、ブームのようなもの。あくまで一時的な現象でしょうね」