横綱日馬富士 今場所負け越しでも“引退勧告”されないワケ
さすがに今場所は事情が事情だけに、仮に日馬富士が負け越したとしても引退勧告はされないともっぱら。そもそも協会は、日馬富士にはまだまだ現役でいてくれないと困る事情があるからだ。
現在、17年ぶりの4横綱時代といっても、全員30歳オーバー。それぞれケガを抱えており、いつ誰が休場、果ては引退となってもおかしくない。鶴竜(32)は次に出場するであろう11月場所が正念場だ。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)が「進退を懸ける」と明言している以上、不甲斐ない成績なら引退は不可避だ。
休場続きの稀勢の里(31)も、ケガとは関係なく、「実は弱いだけでは?」と角界で囁かれ始めている。親方衆の間では「左差しだけで昇進“しちゃった”横綱」と揶揄する声まである。
常に優勝を狙える白鵬(32)は、今後の出場自体が危ぶまれている。
「98年冬季長野五輪で曙が土俵入りしたように、白鵬は20年東京五輪の開会式で土俵入りという野望がある。ただでさえ衰えが隠せない現状、無理をして引退となれば、元も子もない。東京五輪までは横綱の責任より、自分の体調を優先するはず。今場所のように、今後は適度に休場を挟みながら、慎重に相撲を取るでしょうね」(ある親方)
満身創痍でも、状態が良ければ安定した成績を残せるのが日馬富士の強み。まだしばらくは引退させてもらえそうにない。