1安打零封12Kで2勝目 エンゼルス大谷“神懸かり投”の要因
特に序盤はその意識が強かった。三回2死を取るまで、ストレートの最速は155キロ。前回登板の平均にも満たない球速に抑える分、低めへの制球を意識した。前回登板で見られたような高めに抜けたり、地面にたたきつけたりするボールは序盤、ほとんど見られなかった。速い球を投げようと力み、投げた後に体が一塁や三塁方向に倒れるようなこともなかった。
四回までに奪った7つの三振はすべて、右打者から見て外角低めギリギリへのもの。この日の最速は四回に2番セミエン、五回に5番オルソンから空振り三振を奪った際の160キロ。中盤、力みから球が若干、上ずってバランスを崩すシーンもあるにはあったものの、制球を強く意識した投球が、この日の好投につながった。
六回まで安打も四球もなし。自軍ベンチも本拠地の観客も完全試合を期待し始めた七回、本人もさすがに意識したのか、制球が乱れた。
七回1死後、2番セミエンにカウント2ボールから甘く入った直球を捉えられ、遊撃の頭上を越す左前打を許す。球団史上11度目の偉業を逃し、スタンドからはため息が漏れた。異様な雰囲気に包まれる中、続くローリーはストレートの四球。この試合、初めて得点圏に走者を背負ったが、後続を打ち取ってピンチを脱した。最後のオルソンをスプリットでバットに空を切らせると、珍しく雄叫びを上げながらガッツポーズを見せた。