日体大で練習再開 レスリング伊調が母校と恩師に意趣返し
レスリングの絶対女王が再スタートを切った。
かつての恩師である栄和人・至学館大学監督によるパワハラ被害が認定された五輪4連覇の伊調馨(33)が練習を再開したのだ。
長らく伊調を個人指導し、現在は母校である日体大女子レスリング部の外部コーチを務める田南部力氏(警視庁)によれば、同大の道場で学生を相手に汗を流している。栄監督の圧力もあって、練習場所の確保もままならなかった金メダリストの懸案事項がひとまず解決した。
日体大レスリング部はOBも含めて男子は五輪、世界選手権などで多数のメダリストを輩出。ここ数年は女子の強化にも力を入れており、部員も年々、増加。現在は12人(留学生1人)と女子としては大所帯になった。エリート選手が集まる至学館大ほどではないにしろ、有望な選手も少なくない。
田南部コーチの長女で2015年世界カデット(ジュニア)選手権覇者の夢叶(18)、昨年の全日本選手権65キロ級2位の森川美和(18)らは東京五輪の有力候補に挙げられている。
田南部コーチによると、伊調は練習に「来たり、来なかったり」だそうだが、スパーリングなどの本格的な練習に着手すれば、経験豊富な伊調は学生にとって最高の生きた教材になる。理論派で指導力にも定評のある伊調の助言で、選手が成長し、日体大を至学館大と並ぶ女子の強豪に押し上げる可能性もある。