現役に終止符 元世界王者・山中慎介が“第二の人生”を語る
「神の左」の異名をとった左ストレートで見る人を魅了した。WBC世界バンタム級王座を12回にわたって防衛した元プロボクシングチャンピオン・山中慎介。宿敵ルイス・ネリ(メキシコ)との2度にわたる激戦の末にTKO負け、20年間の現役生活にピリオドを打ち、3月下旬に引退したばかり。リングの上で輝きを放った男は、第二の人生を模索している。
■強さを支えた家族の存在
「競技人生20年、よく頑張ったなと。その間、いろいろありましたけど、やっぱりプロに入ってからは意識が変わりました。デビュー当時から<後がない>って常に意識していたし、試合開始のゴングが鳴らないと、どこまで動けるかわからないという緊張感もあった。そんな感覚って日常生活では味わえないじゃないですか。貴重な時間でしたね」
バンタム級リミットの53・5キロまで約7キロの体重を落とす減量や日々の練習に耐えながら、2011年から5年9カ月間ベルトを守り続けた。最後に唯一の2連敗を喫し、後味の悪い幕引きとなってしまったが、本人は吹っ切れた様子だ。