長崎代表・創成館の稙田龍生監督に聞く「請負監督」の実態
――現在は単身赴任ですか?
「今年で単身10年目(笑い)。野球部の寮に住んでいます。(福岡の)自宅には近いんですよ。学校は長崎ですが、諫早インターのすぐ近くなので、高速に乗れば車で1時間半から2時間。でも、近いといつでも帰れると思ってしまって、2カ月に1回くらいしか帰ってないんですよねえ(苦笑い)」
――甲子園に出場するための請負監督として赴任されて、初出場が5年目の13年春。その間、「なんで出場できないのか」などと文句を言われることはありませんでしたか。
「それはなかったですね。09年の夏は地方大会の決勝まで行っているんです。でも、そこで大瀬良(現・広島)がいる長崎日大に負けた。その負けが、むしろ、僕の中では大きかったんです」
――と、言いますと。
「もし、就任翌年に、すんなり甲子園に出場していたら、『ああ、こんなもんなのか』と勘違いしていましたよ。12年の秋季大会でも九州のベスト4に入りながら、準決勝で沖縄尚学にコールド負け。九州からは4校選ばれるセンバツの選考から、一度外れてしまった(結果は出場)。そうやって僕も悔しい思いをし、部員もそうした先輩たちの姿を見ているからこそ、今のチームがあるのだと思います」