ピッチに伏し号泣 息子が本当に悔やんだのは2失点目だった
7月2日のロシアW杯ベルギー戦の衝撃的な逆転負けから1カ月半。先発組最年少のDF昌子源(鹿島)は敗戦の直後、ピッチに倒れ込んで号泣。「先輩たちが夢見ていた高い舞台を見せてあげられなかった。自分の責任だ」と落胆した彼の姿は、今も多くの人々の脳裏に焼き付いて離れない。ベルギーの高速カウンターを止め切れず、MFムニエ(パリSG)に逆転弾を献上。それが涙のワケだと思われていたが、実は他にも理由があったようだ――。(取材・構成=サッカージャーナリスト・元川悦子)
「源が一番悔やんでいるのは2失点目だと思います。FWアザール(チェルシー)が左からクロスを上げ、MFフェライニ(マンチェスターU)が飛び込み、打点の高いヘッドを決めたゴールでした。長谷部(誠=フランクフルトMF)選手と吉田(麻也=サウサンプトンDF)選手がマークにつきましたが、頭ひとつ越されてしまった。『アザールがクロスを入れた瞬間、自分がラインを上げにいったが、ラインアップがそろわずにゴール前の空中戦で競り負けた。身長の高い相手と競り合っても、なかなか勝てないので果敢にオフサイドという手段で封じるべきだと判断してラインを上げた。日本人の場合、ラインコントロールで守ることをしなければならないと思う。アザールがクロスを入れる前に指示を出せたらオフサイドを取れたと思う。周りを動かし切れなかった自分に非がある』と彼は考えていたようです」と兵庫県サッカー協会技術委員長を務める父・力さん(姫路独協大サッカー部監督)は、こう、昌子の考えを代弁する。