“お家事情”でまだ不透明「矢野阪神」誕生に数々のハードル
同監督は去る11日、自身が最有力候補になったことを報道陣に問われ、「球団がやることなんじゃないの? なんとも言いようがない」と話すにとどめている。古株の阪神OBが言う。
「矢野は金本と同じ年で東北福祉大の先輩。金本の右腕としてやってきた。片岡(ヘッド)もクビになるというのに、自分だけが果たして残れるのか。簡単に首をタテには振れないのではないか。そもそも、今季は最下位に転落し、若手育成も順調とはいえない。戦力的に来季の巻き返しは簡単ではない。それに、監督の契約はあってないようなものだが、金本監督はあと2年、契約が残っている段階でクビになった。バックアップ体制に不安が残る。矢野だって同じ目に遭う可能性はゼロじゃない」
■親会社がどう判断するのか
阪神電鉄が抱えるお家事情もある。関西経済に詳しい経済ジャーナリストがこう言う。
「藤原会長は阪神電鉄の親会社である阪急阪神HDのナンバー4。たとえ、矢野さんが就任を受諾したとしても、阪急阪神HDがすんなり受け入れるかどうか。阪神電鉄にはすでにHDのナンバー2で阪急電鉄の杉山社長が取締役として加わっており、その影響力は営業面に及んでいる。坂井オーナーと金本監督が退任することになったのは甲子園で大きく負け越すなど成績不振によってファンの求心力が低下、昨年は303万人を動員した観客動員が今年は290万人に減少したことも大きい。おまけにCS進出も逃した。観客が減れば甲子園までの阪神電車の乗客が減る。グッズの売り上げも落ちる。今季は10億円以上の減収は必至です。HDはここを問題視している。坂井オーナー時代のようにHDが新オーナーの藤原会長に監督人事を一任するならともかく、6月の株主総会を境に流れは変わった。矢野監督で客を集められるのか、ファンが喜ぶのか。そこをHDがどう判断するかでしょう」
矢野監督でスンナリ決まるとは限らない。OBの岡田彰布氏(60)、掛布雅之オーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(63)が候補から消えないのは、そんな事情があるからなのだ。