ガンバレ~! “子ども神輿”の稀勢の里ク~ン
70歳を過ぎた熱烈な相撲贔屓が、町内の秋祭りで神輿を奉納したあとにお神酒をがぶ飲みしながら言うことにゃ。
「稀勢の里ってのは、自分から周りを引っ張ってくタイプじゃないんだな。さあ、みんな、オレの後からついてこい! じゃねえな」
「だからって、縁の下の力持ちになって、支えるってタイプでもねえんだな」
「祭りで言えば、先頭切って神輿を担いで、おら揉め揉め揉め~~~ッ! と仕切るタイプじゃねえんだな」
「だからって、お神輿の左右で笛吹いて沿道で交通整理するわけでもねえんだ」
と、考え込んで、
「子ども神輿だ」
「……本神輿が通った後を、こうヨタヨタヨタ~ッと、母ちゃんたちに、ガンバレ~稀勢ク~~ン、とか言われて、担ぎ棒の一番後ろにひっついてく」
「そうだ、子ども神輿だ!」
「本神輿が通ってから、だいぶ時間が経って、間に車とか割り込んでも、赤信号に変わっても気にしねえんだ。マイペースでな」